イスラエル音楽の遍歴 (5): オリエンタル音楽

イスラエルには大きく分けて二つの民族集団がある。アシュケナジィ(Ashkenazi, אשכנזים)とは、ショアにより欧州・東欧より移民してきたヨーロッパ系の人々のことを呼び、ミズラヒィ (Mizrachi, מזרחים)とは、アラブ諸国のイスラム文化の中で生活していたユダヤ人達のことを呼ぶ。ミズラヒィの音楽は、彼らがモロッコ・シリア・イラク・イエメンなどのアラブ諸国からの文化を強く受け継いでいることや、アラブ語のアクセントがあるなど、歌に独特のアラブの特徴が見られる。歌いまわしや雄叫びが日本の演歌のように感じて、私の中では「ミズラヒィは演歌」となっているのだが、レゲヴはそれを否定する。オリエンタル度120%のイスラエルの演歌である。
 
Zohar Argov (זוהר ארגוב‎) – “HaPerakh BeGani” (“The Flower in My Garden”)
Zohar Argov は「King of Mizrachi」と称される伝説の歌手である。イエメンからの移民の子で、子供の頃の生活は非常に貧しかったらしい。当時はミズラヒィの歌はポピュラーでなく、彼はミズラヒィに対する差別への反発も歌にこめて歌っていた。彼の声・才能ともに素晴らしく、レコーディングも一回で終了するほどだったらしい。しかし、1987年、32歳という若さでこの世を去る。ヘロイン常用者であったことが死因と関係しているらしいが、正確は事はわからない。彼は死して「キング」の座を不動のものとしたのである。