賊の怪奇

ミホの住み込み先に、賊が入ったということ。
その地域は、一戸建ての高級住宅地で金持ちが多い。
ミホがその家で子供達の面倒を見るようになって3ヶ月、特に何事もなかった。
セコムもばっちり機能しているし、その日も誰もがぐっすりと寝ていた。
5:00AM。アラーム作動。
家族は家の中を点検するが何事も起こっていない。再びベットへ。
朝、奥さんが仕事に出かけようとガレージへ行くと、車がない。
そして、その時、車の鍵と携帯がないことに気付く。
そこで賊が入ったことに気付くわけだが、それがなんとも不可思議なのだ。
アラームはなったが物音一つしなかった。車の移動する音さえも。
ミホはガレージのすぐ横の部屋に寝ていたが気付かなかった。
隣の家の必ず吼える犬も吼えなかった。
窓も全て鍵がかかっていた。どうやって賊は侵入したのだろうか?
金銭、金目の物は何一つ盗まれていない。車と携帯。気味が悪い。

車は近くの畑で見つかった。そして携帯へ電話をかけたところ、
「お前らユダヤ人は悪い奴らだ。俺は今夜お前達を殺しに行くからな」
と、アラブ人の男が言った。

警察、セコム、鍵屋。全てが総動員して家の点検を行い、万が一の時に備えた。
結局は、何事も起きなかったが、どんなにか恐怖を感じただろう。
金めあての強盗だったらまだ始末が良い。
しかし、狂言だとしても此れは非常にたちが悪い。
賊の真意は、誰にもわからない。
本当にテロの一味なのかもしれないし、ただの苦し紛れの出まかせだったのかもしれない。
しかし、その家に入ったのは事実なのだ。気味が悪く、恐ろしい。
政治的に何をしていると言う家族でも何もない。普通の金持ちのユダヤ人だ。
ユダヤ人だからなのか?金持ちだからなのか?
いや、このような恐怖はユダヤ人のどの家庭にも起こりうるだろう。
テロ行為は一般家庭へも及ぶところまで来ているのだろうか?
そこまで追い詰められてきたのだろうか?
この家族はしばらくの間は安心して寝ることができないだろう。
もしかしたら引越しをするかもしれない。

この出来事は、私にも大きな衝撃を与えた。
「もし、この人たちが本当に殺されるようなことがあったら・・・・」
と、考えずにはいられないからだ。そして起こりうるかもしれない。
私はいつも、
「テロに巻き込まれてしまうならそれはそれで仕方がない。
此れは自分で選んだことなんだから」
と、考えている。今でもその気持ちは変わらない。
しかし、「巻き込まれる」ならいいが、標的にされるとなったら別である。
ユダヤ人にとってはその「標的にされる」と言うことなんだと、改めて気付いたのである。
ユダヤ人だから・・・との理由で、多くの人が世界中で標的になっているのかもしれない。

ユダヤ人だから・・・だから何だと言うのか?だから殺してもいいのか?
パレスチナ人だから・・・だから追い出してもいいのか?支配してもいいのか?
アラブ人だから・・・だから野蛮と決め付けていいのか?

晴れぬ闇が一層広がっていくような、そんな気持ちになってしまう。

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