捕虜か自爆か?

先刻のガザ紛争で、イスラエル軍の司令官が兵士たちに「決してハマスに捕らわれるな。捕らわれるようなら爆死しろ。」と語っている録音が公開された。

レゲヴは私に「日本人ならこれが理解できるでしょ」といい、「イスラエルはすでに国民をなんとも思っていない」と憤慨していた。確かに日本人にはわかりやすい言葉ではあるが、イスラエルの司令官の意味するものは、カミカゼ特攻隊や花のまま散るというような、神話的な武士道精神を言っているのではなく、明らかに現在ハマスに捕らわれの身となっている Gilad Shalit のようにはなるな、ということを言っているのである。

イスラエル兵士が生きていようが、死んでいようが、ハマスやヒズボラの捕虜となるということは、イスラエルの軍事的政策にとっては非常に都合が悪いこととなる。昨年7月イスラエルは2人の兵士の遺体と引き換えに、5人のテロリストと200の遺体をヒズボラに返した。そして、ハマスは生きている Gilad の返還に1000人のテロリストの釈放を要求している。イスラエルは今まで捕虜となった兵士のためには、何よりも優先して兵士の返還に尽力を注いできた。しかし、Gilad は以前ハマスに捕らわれたままであり、なおかつ、司令官は爆死しろとまで言うようになった。これが、レゲヴのいう軍事政策優先の今のイスラエルである。

日本人的な美意識から言うと「生きて捕虜となり、生き恥をさらすなら、死をもって誇りを保ちたい」と言いたいところだが、果たしてイスラエル人にこういった観念があるかどうか疑わしいところだ。正直、今の日本人にすら武士道精神はないと思う。私の個人的な意見としては、もし、捕虜となるような状況に陥ったとして、自らが選んで爆死するのであれば、それは美談になるが、司令官に「死ね」と命令されたから爆死するというのは、絶対に反対である。イスラエルは軍事国家ではなく、民主国家である以上、一国民である兵士に爆死を命令するようなことがあってはならない。

今、子供を兵役に送らなければならないという親は、この言葉をどう受け止めるのだろう。国を守るため、国民を守るために兵役につく若者たちが、国からはすでに見捨てられているという状況を。国が最後までどんなことがあっても自分を見捨てたりはしない、と信じることができるから戦えるのではないだろうか?

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捕虜か自爆か?」への8件のフィードバック

  1. ちょっとショックです。いやかなりショックです。それはあってはならないことだと私も強く思います。

    イスラエル国防軍の「Purity of arms」の精神は?

  2. 追記;

    アラファトの資産を思い出しました。パレスチナにはいつでも独裁者が政権を握っている、彼の資産を感がると、また世界各国からの援助金を感がるとパレスチナには十分な教育機関を設けることができたはずです。

    私は2国共存を願っています、そのために国防軍人は戦っていると思っています。

    パレスチナ人の希望をなくしているのもガザ・西側の政権を握っているパレスチナ人でもあることは確かでしょう。

    しかしながら、、、、「軍事政策優先の今のイスラエル」の方針には2国共存が私には見えてこない。

    • その通りですよね。私もパレスチナ・イスラエルの両国が共存していくことを願う一人ですが、今の和平路線の全く見えてこない両国の状況には、頭が痛くなるばかりです。パレスチナ人を苦しめるパレスチナ人、大国の思わく、一握りの金持ちのための戦争・・・それら全てが、両国の和平を求める道を塞ごうとしていますね。ビビも、リブニーも、バラクも、彼らからは両国の共存へのヴィジョンが、全く見えてきません。

  3.  大学等の教育機関でイスラエルについて講演する際、イスラエル軍には“突撃”の命令がなく、「俺に続け!」と命令すること、捕虜を見捨てないこと、Suicide Mission(特攻)を命じないこと、をイスラエル軍の基本的な特徴として説明してきましたが、Keikoさんのブログ内容が正式に確認できたら、今後の説明は変更しなければなりませんね。残念です…。

    • この録音の公開を聞いたのは、1月27日チャンネル10の7時のニュースの時です。ヘブライ語ですが、ビデオがあるので参考にしてください。
      http://news.nana10.co.il/Article/?ArticleID=612367&sid=126
      ユニット51の1人の司令官の個人的な意見ということで、イスラエルでは話題になっていませんが、彼の上司や軍関係者もこの司令官の言葉を否定するようなことは言っていません。オフィシャルではないというだけで、兵士たちには常識として通っているようです。司令官が、「言う必要はないと思うが・・・」と最初に前置きしているところが、暗黙の了解なのでしょう。イスラエル軍の建前と本音ですね。

  4. 森口さん、Keikoさん。。。

    最近私は日本の戦争の歴史探索をしています。

    私イスラエルに来てから、右翼系の人が言っていることも理解できるようになりました。(戦争は反対です)実際大戦中の日本軍人もひどいことをしていたこともあるでしょう。

    Suicide Mission(特攻)は政府の責任と言うよりも、それが悪いと戦後の教育で教わりましたが、それも連合国の押し付けで、それに対して今でも日本人の多くは悲観している。

    「国を守る」ために行った、そうしてそれを受け入れた軍人。私はその軍人精神は誇りに思う必要があると思っています。国のために死ねる日本人が今、どのくらいいるのか。自分よりも大切な、守りたいもの、人を持っている人がどのくらいいるのか。

    正直、本当の「Purity of arms」精神を持っているのは旧帝国日本軍の軍人だと思っています。

    イスラエル政府の「ハマスに捕らわれるなら自爆」という意思とハマス側の自爆攻撃は、日本軍が行った自爆精神とはまったく違うと私は感じています。

    私は北海道です、北海道は日教組が強いので、私の小学校から高校は「国家」斉唱がありませんでした。

    • 日本を離れ、イスラエルに滞在するようになってから「愛国心」ということをよく考えます。そして「日本人」であることの誇りを考えます。昔から三島由紀夫や右翼というものに憧れていましたが、本質は全くわかっていませんでした。ただ三島の言う「美」を、「人間としての美の精神」としてとらえていたのだと思います。特攻隊という唯一無二の歴史をもつ私たち日本人は、命をかけて国を守ろうとした先人たちから、多くの「誇り」について学ぶことが出来ると思うのです。自爆テロという間違った愛国心ではなく、捕虜になるなら自爆という間違った自己犠牲ではなく・・・
      私の小学校の恩師が、特攻の人でした。恩師は道徳の時間に、自分の戦争での経験を涙ながらに語ってくれました。友人と最後の杯を交わしたこと、友人の特攻の数日後、そして恩師が特攻にでる数日前に終戦したこと。小学生の時に恩師とであったことが、今の私の全てだと思っています。国歌・国旗・天皇にこだわりはありませんが、日本人の誇りとして、それらはすでに私のものだと自覚しています。

  5. 私もホステス時代に可愛がってくれたお客様がKeikoさんの恩師と同じ経験をした方でした。いつも、いつも馬鹿げた話もしながら、戦争の話もしてくれました。

    今はインターネットの普及で本当に色々な(良くも悪くも)情報が入手できる。

    イスラエルの話題から多少違う話になりましたけど、そうしてイスラエルの先生の給料の安さには本当にビックリです!「先生」という言葉はKeikoさんが言ったように、先に生きている人なんですよね。(と思っています)。

    森口さん、これからも色々なことを伝えていってください!頑張ってください!

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