「おくりびと」 イスラエルで上映

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「おくりびと」がオスカーを受賞してからというもの、イスラエルで上映されることを心待ちにしていましたが、まさか、父を見送って後に見ることになるとは思ってもいませんでした。

イスラエルに到着早々、レゲヴと一緒に見に行き、ただ涙ばかりでした。父を納棺した際には形式的ですが同じようなことを実際にし、父を死出の装束に変えて送り出したことがフラッシュバックされて、泣き声を抑えるのに必死でした。比較的年配の人で埋まっていた小さな場内からも、たくさんのすすり声が聞こえ、私の泣き声も気にならぬほどでした。

文化の全く違うそれも「死」という重いテーマが、イスラエルにどのように受け入れられるのか心配でしたが、非常に好感的に受け入れられたようです。それがAri Folmanの「戦場でワルツを」から、イスラエル初のオスカー受賞の期待を奪い取ったという看板つきで、奪い取るだけの見る価値のある作品として紹介されています。

昨年亡くなったレゲヴの祖母の葬儀や、日本での父の葬儀から感じることは、「死」というもが己の民族と宗教感を、色濃く反映するということでした。レゲヴ曰く「おくりびと」でみられるような死者への装飾は、どうも変だといいます。ユダヤ教では「ちりにかえる」という意味もあり質素な白い布で包み、「聖書と善き行いのみをもっていく」と考えられています。父の葬儀では、父の好きだったものや思い出の品などを一緒にいれたり、死出の装束にも三途の川の渡り賃を入れる袋があったりしました。

レゲヴの祖母の葬儀では、小さな子供達を死んだ祖母に会わすことも、葬儀に参列させることもなかったので、不思議に思い聞いてみると、子供たちに「死」を体感させたくないということでした。この考えに納得できない私は、本当に日本人なんだなと考えさせられたものです。父の葬儀では、家に帰ってきた動かない父をみて、6歳の甥っ子が「じじちゃん、死んじゃったね」と、神妙な顔つきでじじちゃんに手を合わせていました。13歳の甥っ子は、何度もじじちゃんの顔を眺めて、肩を震わせていました。私は二人の甥っ子たちをみて、父も喜んでいるだろうなと思ったのです。

日本にはお彼岸やお盆、仏壇など、先祖の魂を弔う習慣があります。輪廻転生や幽霊、魂なども日本人にはなじみの深いものです。そういった民族風習は全て宗教感から発生し、私達の「死」に対する考え方にもなります。「おくりびと」をみて、私達日本人の持っている「死者」へのいたわりの気持ちは、日本人という民族を象徴するものであると感じます。そして、映画の成功によって、全く異文化の、宗教も違う国々でも受け入れられているということに、ただ感動するばかりです。

民族・宗教は違えども、「死者」を尊ぶ気持ちは万国共通であることを、改めて感じさせてくれる「おくりびと」に、感謝の気持ちです。

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「おくりびと」 イスラエルで上映」への4件のフィードバック

  1. ちょっと、かなりバラがんがありまして、現在仕事ボイコット中で、時間があるときにお金がない。。。話すと長いのですが、、

    やっぱり、、見なくては。。私もきっとKeikoさんの6歳の甥っ子さんと同様の経験をしています、あれは8歳くらい? いや6歳?? いとこの3歳の子供が交通事故で亡くなった時のアルコール清掃をしたことがあります。あれはショックでしたけど、それは一つの日本の文化で、子供大人関係なく、ひとつの家族(身内)としての儀式的なのかもしれません。たぶん、嬉しいことも悲しいことも家族で分かち合う、共有する。

    Yad Vashem には入場するための年齢制限があるのは理解できます。子供に参列させないのは、もしかするとユダヤ教で何かがあるのかな? イスラエルでは一度しか葬儀に参列していませんが、言われると子供はいなかったかも?? 

    • そうでした、ヤドバシェムは年齢制限がありました。靖国の戦死者記念館は制限ありませんよね?私も、どうして子供を死から遠ざけようとするのか、不思議なのです。レゲヴが簡単に説明してくれたことには、ユダヤ教では「死・死体」はどちらかというと忌むべきもの、避けるべきものらしいです。だからなるべく触れたり、近づいたりしないのだと。もしかしたら、土葬という埋葬の仕方や、中世のペストや黒死病などの伝染病を連想させるのでしょうか?ユダヤ教に天国という概念がないことも、影響しているのかも知れません。宗教というものが「死」に対する考えから発展したことを考えると、それぞれの民族の死感は、その土地の風土と気候とも密接に関係しているのでしょうね。これ、世界の宗教を考えるに、面白いですよ。

  2. 私も観ました。小説でも読んでいたのですが感動しました。
    でもイスラエルの映画館では上映中に休憩が入るでしょう?
    これが毎回、感動を半減させます!!「2時間、じっと椅子に座っていられない人達よ!最後まで我慢しなさい。」と言いたいです。

    • 上映中の休憩、ホントやめてほしいです。多分tovaさんと同じ映画館で見たと思うのですが(ハイファの中心)、とても感動的な場面で、私なんて、すすり泣きどころではない、号泣きしている場面で、いきなりパッと電気がついて・・・って、ありえませんよね。せっかくのいい場面が台無し。「おくりびと」が北部の大きな劇場で上映されなかったのが敗因ですね。そうそう、なおかつ、画像の質が何十年前?と思わせるほどの巻きフィルムでしたね。まぁそれはそれで、味があってノスタルジーな感じでしたが・・・ともあれ、最高の映画でした。

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