イスラエルの迷走-ナクバ法

先月、「ナクバ」を追悼する者を処罰するという法案がだされ、現在1回目の投票を可決し、議論をよんでいます。「ナクバ」とは、パレスチナ人にとっての大悲劇である、ユダヤ人にとってのイスラエル独立記念日のことです。イスラエル独立記念日は、ユダヤ国民にとっては歌い・踊り・BBQ と華やかに一日が過ぎますが、パレスチナ人にとっては最も忌むべき日であり、悲しみに暮れる日となります。そのため、イスラエル・アラブの中には、独立記念日にナクバを追悼する人々もいます。その人々を法律で罰しようとする法案が「ナクバ法」なのです。

このような馬鹿げた法案を出したのは、あの極右党のリーベルマン外相。極右内閣が誕生した時点で、必ずこのような展開になるだろうと思っていましたが、実際に法案が出されてみると、ただ腹立たしい限りです。民主主義イスラエルは、いったいどこへ行ってしまうのか不安が募ります。これが、今回の選挙でイスラエル国民が選んだ道だったのかと思うと、虚しくなります。イスラエル国内少数派のアラブ人を、このような法律で取り締まり、アラブ人排斥を進めて、お互いの憎悪を増やし何のためになるというのでしょうか?イスラエル・アラブの人権も自由もないがしろにして、何が、イスラエル国民の結束なのか、私には理解できることは一つもありません。

私の好きな有名人で Yaron London  というTVホストがこの法案についてシオニストと議論し、「私もイスラエルを愛している、だから、私はこの国を間違った国にはしたくない。私は自分の孫たちのためにも、イスラエルを他の国々と同じように、アラブ人もパレスチナ人もクリスチャンも仏教徒も、誰もがみな自由に生きることができる国にしたい」と、真剣に法案に対する怒りを発言していたことに胸が熱くなりました。そしてまた、テルアビブ100年祭の一環だったホワイトナイトでも、ナクバ法に反対する人々のデモ行進も行われました。

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この法案がイスラエルという国にとって、どれだけ危険なことなのか、ユダヤ人自身が問題提起しなければ、和平への道は後退するばかりです。法案の正式な発足までには、3回の議員投票を通らなければなりません。残り2回の投票が、この馬鹿げた法案の最後となってくれることを願います。

久松 重光さん  「ナクバ追悼を禁じる

 

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イスラエルの迷走-ナクバ法」への11件のフィードバック

  1. コメント・・・・書こうと思ったけど、書いている途中で消しました。原稿用紙一万枚でもたりないかもしれない。。。。非常に難しい。。。。

    まとめると、このナクバ法律があってもなくても、ナクバ行進の裏には、やはりイスラエル憎悪があると思っているんです。彼らの独立記念日を見たいものです。

    リーベルマンなぁ~、、ゲイオリンピックには援助金だしたんですけどね。。。

    • 本当に難しい問題です。先日ちょうど、アラブ人との同居で論争になっていた北部の村(コミュニティ)で、誰であれその村に移住する者は「ユダヤの祭りごとを遵守する」という契約書に同意しなければ、移住は認めないという方針を決めたことがニュースになっていました。悲しいことに、私の住んでいるキブツも今のところアラブ人の移住は受け入れていません。村単位で決まりごとや、暗黙の了解があるのはわかりますが、国の法律としてこのようなものが制定されることには、断固反対ですね。とはいえ、民族感情を考えると、この問題の根本について、語るだけの十分な言葉が見つかりません。

  2. 中近東の事情を、自分の目で確認したくてイスラエルにやって来たのがきっかけで、この国とこの国の人達とのご縁ができたのですが、実際自分の肌で感じてみると、その問題の底の深さが見えなくて、本当に難しい問題です。知れば知るほど、コメントできなくなってしまいます。
    ただ、ユダヤ人の2000年間の迫害の歴史とホロコーストを経験して手に入れたこの国に対する愛国心は凶器にも成り得るほど、強いです。

    • tovaさんの言うとおり、私もこの国にいて、双方を見て感じていると、言うべき言葉を失ってしまいます。この絡まり続けるいくつもの糸が解けるには、いったいどうしたらいいのでしょう。
      美しい愛国心が、間違った凶器にならないことを祈るばかりです。

  3. リーベルマンは早く刑務所に入れるべきだね!
    彼が外務大臣って事自体ありえない。
    影響力のある人間に危険な思想があるというのは恐ろしいですね。

    • 正直、リーベルマンの顔は、二度と見たくないです。どうしてあの人が、外務大臣にいるのか、未だに理解できません。今の政権では、お先真っ暗ですよ。

  4. アラブ人との同居問題。

    テルアビブにいるとそのへんのことって見えてこないことが多いです、実際Jaffaにはアラブ人がいます。南テルアビブ近辺にもアラブ人がいても、人口比から言うと非常に少ない。それにテルアビブ近郊っていっても、アラブ人の村がないでしょ。久しぶりにエルサレムに行ってアラブ人と会うとビビってしまったり、どうして私ビビってるんだって思いました。

    しかし、いつも貴重なニュースの話題ありがとうございます。

    • 確かに、テルアビブの街中にいるアラブ系は完全に同化を装っていますね。友人がディーゼンゴッフセンターの近くのファラフェル屋で働いていた時、そこはみんなアラブ人だけど、モロカイにしか見えなくて、区別がつかなかったことを覚えています。エルサレムで驚いたのは、ロシア人に会わなかったことですね。もちろんいるのだけど、ロシア語を全く聞かなかったので、北部でどこにいてもロシア語が聞こえてくるのとは、随分違うと思いましたね。

  5. keikoさん、シャローム!
    ナクバを否定する法の法案は、リーベルマンのイスラエルへのfidelityを求める政治活動のひとつのようです。
    彼の理論は、筋がまったく通っていないというわけでもありません、それが又問題をも含む点であると言えます。
    彼の求めるイスラエルのアイデンティティーは、ヨーロッパでModern Nationの動きが始まって以降の思考におけるものです。ユダヤの長い歴史やユダヤ教からアイデンティティーを吸い上げるのではなく、世界の歴史でいうとごく現代の時点からのシオニズムをイスラエルのアイデンティティーにしています。
    シオニズムは、メレツなどで「イスラエルは、全ての国民のもの」という主張をする人たち以外では、一般の意識として、イスラエルを自分たちのアイデンティティーの源と見ている、イスラエルのアイデンティの要のひとつです。
    そこでリーベルマンのような、現代イスラエルのみの、現代シオニズムのみの、思考では、世界の要求に応えられない過激なものであるしかない。それが、彼の癌です。

    ユダヤ・イスラエルの中では、自分のアイデンティティーを、イスラエル人とするよりユダヤ人だとするという人が75%程度。
    もっと、ファナティックに進むのではなく、広く深くイスラエル・ユダヤのアイデンティティーを求めて行ければと願います。
    そのためには、アラブ・イスラエルも、「イスラエルは、ユダヤ・ユダヤ民族の国家である」という、国際法上でも、イスラエルの法・判決上でも、constitutional な下地盤を、消化・受け入れるべきだとおもいます。
    ローマ教皇も、この『ユダヤ・ユダヤ民族の国家』という認識ができない、したくないということがあります。
    たくさん平和を呼びかけるメッセージをしていらっしゃいましたが、現実的なシャロームを求めるためには、そういった現実的な承認のし合い、重なり、が不可欠だと思います。

  6. アラブ人との共存、実際生活を共にするということは、頭で理想を描くのとは、ほど遠いものがあります。
    ユダヤの祭日に従うように定めるコミュニティーというのは、アラブ人の中で弁護士等が人権運動から『逆入植』の形で、法的には平等に住居購入の権利があるという主張のもと、ユダヤ人社会の中に不動産を購入していくという現実への対応でしょう。
    難しいと思います。エルサレムでは、店舗、飲食店、市場、水道修理業、改築・建設現場、などで働いていますが、実際同じ地域で暮らすというのは、理想と現実が遥かに離れている。西エルサレムの不動産購入も、上記と同様のようです。

    エルサレムでは、ロシア出身者たちは、既に社会に根付いています。官公庁、オフィスワーク、ハイテク、スーパーのレジ、美容院、様々な分野。
    移住してすぐでロシア語で生活する、又、ロシアのコミュニティーを作ってロシア語での生活をするという比率では、ナハリヤ、アシュドッド、ホロンなどの町が多いようです。キリヤット・シュモナでも、ここ10年ロシア語を耳にすることが増えました。

    • サラさん、コメントありがとうございます。
      まずは、双方がお互いを受け入れ、認め合うということが、すべての平和の道への始まりですね。・・・と言葉では簡単にかけますが、本当に難しい問題です。ただ、リーベルマンのような過激な考え方が、イスラエル・ユダヤ全ての考えではないということを、信じていきたいと思います。

      エルサレムは本当に特別な場所ですね。いつも、エルサレムにいると緊張してしまい、そして、たくさんのアラブ人と超オーソドックスの人々を見て、「あー、本当にここはエルサレムなのだな」と思ってしまいます。ナハリヤはロシア語ばかりが聞こえてきて、違った感じで異国を味わっていますよ。

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