Anat Kam 騒動

 (Uri Blau)

昨日、検閲が解かれたと同時に、決壊するかのごとく情報合戦が始まった Anat Kam の問題が、非常に興味深いことになってきている。検閲で報道出来なかった時には、少なくともネット上では、Anat を軍の不正を暴露した義人のようなイメージで扱っていたが、ひとたび情報が公開されるや、「Anat Kam はスパイ」「裏切り者」「国家の安全を害する者」という、真逆のイメージとなってきている。

というのは、公開された情報によると、Anat は兵役中、軍の司令官の秘書というエリート職にいて、2000もの機密文書をコピーして、持ち出していたという。これでは、ちょっと出来心で・・・というのはありえないし、他の兵士たちも彼女に協力していたという情報もあるので、計画的犯行であるのは間違いない。また、これについても、彼女はスパイとしてではなく、自身の左翼的なイデオロギーのためにしたことであると言っている。しかし、ハアレツ記者のUri Blau と知り合い、彼にすべての機密文書を渡し、2008年にUri が新聞に記事の宣伝広告をしたことから、二人は軍にマークされていたそうだ。その後Uri は、軍と50の機密文書の引渡しの取引をしたが、残りの機密文書をもって現在イギリスに逃亡中である。

それにしても、軍の内部からこれほど簡単に情報が搾取できることに、唖然としてしまう。聞けば、当然のごとく軍のセキュリティは高く、何人たりとも軍外に機密を持ち出すことなど出来ないようになっている・・・はずなのだが、こうもあっさりと持ち出されてしまって、軍の面子は丸つぶれだ。先日、アシュケナジー軍最高司令官が任期を継続しないと、突如報道されたのにも、これに関連した裏があるのではないかと、勘ぐりたくもなる。

今回のAnat Kam に関する騒動は、たくさんの問題をイスラエルに投げかけた。まず一つは、ネット社会を背景に、検閲という手段がいかに無意味であるかということ、検閲による言論の自由の侵害を、イスラエル国民はどう捕らえるのかということ。二つ目は、軍のセキュリティの弱さと落とし穴。三つ目は、軍の違法な暗殺行為(合法な暗殺があることにも驚く)、四つ目は、国の安全保障とAnat のした行為を国民はどう捉えるのか、ということ。

Anat Kam(23) は、もしスパイ容疑が判決されれば25年の獄中生活となる。もちろん、彼女は機密文書を盗んだという行為に、代償を払わねばならない。たとえそれが、彼女の中の正義のためであっても、違法行為には間違いない。そして、現在イギリスに逃亡し、軍と彼の所持する機密文書について交渉中の Uri Blau は、ジャーナリストとして言論の自由のために戦っている(そうであってほしい)。

私達が得ている情報は、今回の騒動のほんの一部でしかなく、真相を知ることはもっと先、もしくは、この先もないのかもしれない。物事は、何も知らないほうが幸せで、すべてを知ることが不幸の始まりという考えもあるが、私は全てを知り、そこから最善の道を見つけ出して行きたいと願う。しかし、今日の情報社会で、何が真実なのかを見極めるのも、また困難なことでもあるのだけれど。

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